隠れたがりな君には、明け透けな愛を。ー番外編追加しましたー
左手にかけた腕時計の針は、午後6時ジャストを指していた。
今日は珍しく定時に帰れると思ったのにと重いため息をつく。
いくら定時だと言ってもオフィスにはまだ人が残っているだろうし、このびしょ濡れのままのこのことオフィスに戻れる訳がない。
人が居なくなる時間まで、
ここで待つしかないか…。
有り難い事にトイレにも軽く暖房が効いていて冬だというのにあまり寒くないし、もう帰ろうとしていた所だったから全ての荷物も持っている。
鞄かけに掛けておいた鞄だけは無事で、
ほっとしながらスマホを取り出して梨架にメッセージを打つ。
『ごめん、遅くなるから夕食先に食べてて。
冷蔵庫に作り置きがあるから』
そう打って送信すると、
意外にも早く返事が返ってきた。
『わかった!残業?ϵ( 'Θ' )϶』
「………。」