隠れたがりな君には、明け透けな愛を。ー番外編追加しましたー
返事も出来ずに固まる私に石川部長が駆け寄り、全身びしょ濡れの私に目を見張る。
「西野、お前…」
「……。」
黙り込む私に、石川部長が自分のジャケットを素早く脱いで私の肩から体を包むようにかけた。暖房の付いていない廊下に出て、急に冷えてきていた身体が温まる。
だが、見るからに良さそうなそのジャケットが水を吸って色を変えていくのを見てハッとした。
「駄目です、濡れます」
慌てて脱ごうとする私の手を石川部長が掴んで制する。
「別にいい。…大体、今は冬なんだぞ。
何で傘も持たずに外になんか出たんだ」
「…え?」
呆れたような顔をして言い放たれたその言葉に、思わず間抜けな声が漏れた。
石川部長、私が濡れているのは雨のせいだと思ってるんだ。
「ん、違うのか?」
「いえ、そうです、違いません」
淡々として不自然になってしまった返事に石川部長は少し訝しむような顔になったが、
その後すぐに半強制的にオフィスに連れてこられた。