隠れたがりな君には、明け透けな愛を。ー番外編追加しましたー
「ごめんなさい!俺よく前見てなくて…
大丈夫ですか!?」
嘘…。
頭上から降ってきた聞き覚えのある声に、
自分の不注意を後悔した。
同僚の木嶋さんだ。
いかにも人懐こそうで、調子のいい事や冗談を言っては周りの人を明るくさせるような。
悪い人ではないのだろうし、人気があるのも分かるが、それでも職場での人とのコミュニケーションを抑えたい莉子にとっては、木嶋さんのような人に関わるのに積極的な人は特に避けたいタイプだった。
「すみません、私のせいです。」
そう謝りながら恐る恐る顔を上げる。
すると、何故か木嶋さんの表情は度肝を抜かれたように惚けていて──…
「……っ」
そんな表情の理由に気がつき、
露わになっていた左目を、前髪を瞬時に直して隠し顔を背けた。