隠れたがりな君には、明け透けな愛を。ー番外編追加しましたー
誰もいないオフィスの電気と暖房を石川部長が手早く付けて、私を側の椅子に座らせる。
少し待ってろと言われ言われるがままに待っていると、すぐに何枚かのタオルを持って石川部長が戻ってきた。
「え、何処から…わっ」
「給湯室に仕舞ってあった」
そう言って不意打ちに軽く投げられたタオルを両手で掴む。
「それでちゃんと拭け、風邪ひくぞ」
「すみません…ありがとうございます」
いい加減濡れっぱなしで気持ちが悪かったから、差し出されたタオルが助かるし嬉しい。
水を掛けられて、それでも少しも堪えたつもりはなかった。
それなのに。
剥き出しの敵意を浴びた後の石川部長の優しさは痛い位に胸に沁みて、思わず鼻がツンとして目の奥が熱くなった。
きっと情けない表情をしているであろう顔を隠すように、軽く押すようにして水気を吸った後に髪を拭いていく。