隠れたがりな君には、明け透けな愛を。ー番外編追加しましたー
「西野、お前何か今日様子おかしいぞ」
「そんな事ないですよ」
様子がおかしいと言われ咄嗟に否定する。
…でも、石川部長にそう言われても仕方がないかもしれない。
石川部長から見た今日の私は、
雨の中傘を差さずに外に出てびしょ濡れになっていて、その上そんな私を心配してくれた石川部長に対して唐突に視力や普段テレビを見るかどうかなんて質問を立て続けにしている変な部下だ。
「帰りは電車かバスか?」
「いえ、車です」
「そうか、俺もだ。心配だから送ろうかと思ったけど、車通勤なら仕方ないな。…本当に気をつけろよ」
そう言う石川部長の顔は少し怖くて。
本当に私の事を心配してくれているんだなと思うと、少し目の奥が熱くなった。
「…はい。あの、今日は本当にありがとうございました」
「あぁ、風邪ひかないようにな」
そう言って石川部長に優しく微笑まれ、
思わずドキッとする。
…これは条件反射だ。
こんな状況なら誰だってそうなる。
そう冷静に心の中で呟いた。