隠れたがりな君には、明け透けな愛を。ー番外編追加しましたー
hide3
「おはよう西野」
「木嶋さん、おはようございます」
朝のオフィス。いつもより少し早く出勤してきた木嶋さんにそう挨拶を返すと、拗ねたようにむくれられた。
「だから木嶋でいいって。それに同期なのになんで敬語?」
悲しそうな顔をして一歩距離を詰めてきた木嶋さんから、私は一歩退いた。
「分かった、じゃあ木嶋。
…ちょっと近くない?」
「いや、何で離れるの?近くないよ」
そう少し不機嫌な声色で詰め寄られ、私も心が痛む。
「さん付けも敬語もやめるから、だからあんまり近くによらないで」
「えっ、なんだよそれ」
ごめん。酷い事言ってるのはわかってる。
──ただ視線が怖いんだってば…!
昨日私に水をかけた女性社員は誰かなんて声で分かってる。いつも肩で揃えた茶髪を綺麗に巻いている顔の整った小柄な子だ。
名前は確か…花岡さん?
怖くて振り返れないが、刺さるような視線が痛い…。
「じゃあさ、今日の昼飯一緒にどう?」
「はっ!?」
…この人、
"じゃあ"の使い方が絶対おかしい。