隠れたがりな君には、明け透けな愛を。ー番外編追加しましたー
少し挫いた足の痛みを我慢しながら立ち上がり、顔を見られない角度で頭を下げる。
「いきなりぶつかったりなんかしてすみませんでした。あの、私急ぐので──…」
そう言って立ち去ろうとすると、
腕をグッと掴まれた。
「そんな事よりさ、西野さんって女優の西条梨架にそっくりじゃない!?」
もう勘弁して…。
耳元で叫ぶに近い声量で放たれた言葉に目眩がしそうになった。
咄嗟に否定しようとしたが、声を出した所で声まで似ていると騒がれるのが目に見えてわかり躊躇う。
いつもは元々の声質を押さえるようにしてわざと低い声を出して話しているが、気が動転している今は自分でもそんな事が器用に出来る自信が無かった。