隠れたがりな君には、明け透けな愛を。ー番外編追加しましたー

普通に手を伸ばしても届きそうになくて、
近くにあった小さな脚立を引き寄せて登り、
棚に手を伸ばした時だった。

足音がして、開けっ放しにしていた給湯室のドアの向こうに通りすがろうとする石川部長が見えた。

──あ、昨日のお礼言わないと。


「石川部長…わ…っ!?」


お礼を言おうと思わず声をかけたその時だった。
バランスを崩して、脚立がグラっと揺れる。

私に気づいた石川部長が、目を見張ったのが分かった。

…落ちる!

「おい馬鹿!」

石川部長がそう叫びながら瞬時に私の方へ駆け寄り、揺れた脚立を片手でガッと抑え、左手は私を抱きとめるような形で支える。

「……っ」

怖くて反射的に瞑っていた目をゆっくりと開けると近い距離に石川部長の顔があって、心臓が早鐘を打った。
脚立も安定し、石川部長がため息をつきながら私に回していた左手をそっと解く。
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