隠れたがりな君には、明け透けな愛を。ー番外編追加しましたー
離して下さい、と小声で訴えて掴まれた腕を解こうとするが、木嶋さんは一向に私の腕を掴む力を緩めない。
──西条梨架。
テレビに雑誌に引っ張りだこの今を時めく若手女優であり、私の血を分けた妹でもある。
西条、というのは芸名で本名は西野梨架。
私のこの顔が梨架に似ているなんて当たり前だ。私と梨架は、一卵性の双子の姉妹なのだから。
「ねぇ、勿体無いよそうやって前髪で隠しちゃうなんてさ。本当似てるし」
「木嶋さんには関係ないです、それに全然似てないですから…っ」
苛立ちながら、意識するまでもなく低い声でそう言い放つ。
…こうやって、つきまとわれたり興味を持たれたりするのが嫌で会社でも息を潜めてなるべく目立たないように努力してきたのに。
自分のツメの甘さを悔やみながらしつこい木嶋さんを睨みつけるが、当の本人は懲りた様子もなく、それどころか彼の手は私の顔を隠してくれている長い前髪に伸びた。
「い、嫌っ…!」