隠れたがりな君には、明け透けな愛を。ー番外編追加しましたー
一度は会社を出たが、オフィスに必要な資料を忘れている事に気がついてすぐに方向転換をして廊下を歩いている時だった。
どこからか小走りする足音が近づいてくると思ったら、角を曲がった所でその足音の主にぶつかられ、その華奢な身体は俺に跳ね返されたようにストンと床に倒れこんだ。
や、やばっ!
「ごめんなさい!俺よく前見てなくて…
大丈夫ですか!?」
焦って謝って。
…そして、まさかと思った。
「すみません、私のせいです。」
嘘だろ。
少し強張ったような固い声がそう応え、恐る恐るといった様子でその顔が上げられた。
───西野…。