隠れたがりな君には、明け透けな愛を。ー番外編追加しましたー





注文した後、西野がお冷を飲みながらキョロキョロと店内を見渡すのがわかった。

「結構広いね」

「確かにそうだな。個人経営の店の筈だけど何かチェーンっぽい」

「…うん」

そう相槌を打つ声色が不自然に固く、
どうしたのかと横を振り向くと西野が一点を見つめてわかりやすく固まっている事に気がついた。

驚いて視線を辿ると…

え、ポスター?

「え…。」


間違いない、西野が見ていたのはビールを片手に持って爽やかに微笑む俳優のポスター。
居酒屋の壁によく貼ってあるようなもので、
別段目を見張るようなモノでもないのに、どうしたんだ?

「あれって新人俳優の、
何だっけ…及川湊人?」

「俳優なの?」

西野が強張った声色のまま尋ねる。
もしかして及川のファンなのかとも思ったが、そうだとしたら俳優なのかなどという質問はおかしい。
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