隠れたがりな君には、明け透けな愛を。ー番外編追加しましたー
「石川部長、その…ありがとうございます」
「木嶋が悪かったな。気をつけて帰れよ」
石川部長がそう言って木嶋さんの頭をポカっとしながら、その形のよくて綺麗な目を細めて優しく微笑む。私は微笑み返すなんて事は出来ずに失礼しますと小さく頭を下げ、逃げるようにしてその場を後にした。
小走りをして駐車場に着き、車に乗り込み素早くエンジンを掛ける。
さっきまでの出来事を思い出し思わずいつもより強くアクセルを踏み込んでしまい、慌てて緩めた。
いけない。うっかり交通事故なんて起こして梨架の看板に泥を塗るような事があったら大変だと自分に言い聞かせ、気を取直してから落ち着いて車を発車させる。
…さっき、石川部長が来てくれてよかった。
スタジオまでの道を車で走りながらそう思って今更ながら胸を撫で下ろした。