隠れたがりな君には、明け透けな愛を。ー番外編追加しましたー
石川部長が驚いたように小さく目を見開く。
それほど大きな声をあげた訳ではなかったが、それでも周りの視線を瞬時に集めた。
サーっと血の気が引いて、今まで荒かった呼吸が嘘のように落ち着く。
「あ…」
.「悪い。
いきなり触られたらそりゃ嫌だよな」
石川部長がものすごく申し訳なさそうに
そう言って謝る。
…違う。
謝らなきゃいけないのは私の方なのに。
石川部長は目眩を起こそうとした私の体を支えてくれただけだ。
その手を、
石川部長の手を私は拒絶して払った。
…どうして。
あの男と石川部長は違うのに。 男性という事以外何も共通点はないのに。
全く、全然違うのに。
「違うんです。違うのに、全然。ごめんなさい。ごめんなさい。本当に…っ」
真っ白になった頭で脈絡もなく謝る。
「西野、わかったから一回落ち着け」
石川部長の優しい声でそう宥められ、
ヒートしていた自分がだんだんと冷静に戻っていく。
「……すみません」
「俺が悪かったんだから、謝るな。いきなり根掘り葉掘り聞いて悪かった。嫌な事思い出させたよな」
違います、私が悪いんですごめんなさい。
そう謝ろうとしたけれど、なんだか不毛な会話が続きそうな気がして口を閉じた。