隠れたがりな君には、明け透けな愛を。ー番外編追加しましたー
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予想通りの時刻に稽古場に着いた。
稽古ももう終わっているようで、ホールの扉から迎えの車に乗り込む役者さんがちらほらと見える。
「あっ、今日も迎えに来てくれたんだ。待ってね、梨架に莉子ちゃんが迎えに来てくれたって伝えてくる」
ホールに入ると、そう言って安藤さんが迎えてくれた。
「梨架の携帯に繋がらなかったので、助かります」
楽屋まで一緒に行くかどうか尋ねられたが、
それはさすがに気が引けてここで待っていますと答えた。
…が。
楽屋までついて行っていたらと数分後になって後悔した。
「莉子?」
低めの少しハスキーな声で名前を呼ばれ、
一瞬思考が停止した。
嘘…。
声がした方向から振り返らないでいると、
いつのまにか目の前に回り込まれていた。
「久しぶり、莉子」
「……っ」
──及川湊人。
スラリとした長身に、
白めの肌によく映えた茶髪。
切れ長の形のいい瞳。
木嶋と行った居酒屋でポスターを見た時には目を疑った。
まさかこの人が芸能界に入っているなんて思いもしなかった。
しかも俳優。