隠れたがりな君には、明け透けな愛を。ー番外編追加しましたー

思えば湊人はどちらかというと私より梨架との方が元々仲が良かった。

梨架の方が明るいし頭も良くて話す事も上手で私より断然友達も多い。
同じ所といえば顔くらい。


もしかしてと心に湧いた考えにはずっと目を反らし続けていた。


ちょうど私が不安で揺らぎ始めた頃から、
湊人が少し変わった。
私と梨架を、よく比べるようになった。

こんな所が梨架と似ているけれどここは全く似ていないとか。そういう所は梨架とは好みが違うんだね、とか。
私と梨架の違いを
よく口にするようになった。


梨架、梨架、梨架。


──やめて。私と同じ顔なのに私に無いものを全て持ってる梨架と私を比べないで。

梨架に近づきたくても近づけない。
梨架のように出来ない。

もしも内面も梨架のようになれたとして、
そうなったら湊人は喜ぶの?
話が今よりもっと弾むようになって、湊人も嬉しいの?

でもそれって、私の個性はどうなるの?
私が私でいる意味って、ないの?


双子の妹との自分の出来の違いには幼い頃からコンプレックスをずっと抱いていたが、
段々と酷く拍車がかかっていった。
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