隠れたがりな君には、明け透けな愛を。ー番外編追加しましたー
トドメはその日の晩に来た。
今では誰からのメールだったのかはもう覚えていない。
ただ、届いたメールを素直に開いたのだから
知らないアドレスではなく知人か友人からのメールだったのだろう。
『及川湊人は今日も西野梨架を忘れない。
及川湊人は今日も西野梨架を強引に口説く』
西野梨架。
梨架の姓が西条ではない事に、かすかな違和感を感じるようになっていた。
そして、そんな二行のメールに添付されていた二枚の写真。
恐る恐る震える手で添付ファイルを開いた。
どちらも暗くてはっきりとしない写りの悪い写真だったが、それでも誰が何をしているのかは分かった。
一枚目は、
湊人が強引に梨架の腕を引く写真。
二枚目は、
湊人が梨架に口付けている写真だった。
私は、自分でも驚く程冷静にその二枚の写真を眺めていた。
♢
「梨架、私これから迎えに来られる時はちゃんと来るから」
赤信号で車を停車させながらそう言う。
梨架に気を使わせるのも悪い。
といっても梨架の気遣いを初っ端から無駄にしてしまった訳だが。