隠れたがりな君には、明け透けな愛を。ー番外編追加しましたー
といってもまぁ俺はこれが通常出勤時間なんだけど。
そう付け足して笑ったのは木嶋だった。
「ん、入らないの?」
「それが…
社員証なくしちゃってたみたいで」
そう言って鞄の空のポケットを見せると、
木嶋はええっと声をあげて驚いて目を丸くした。
「マジか!それは大変だな…。とりあえず俺と一緒に入ろうか」
そう言って木嶋が社員証を機械にかざす。
シャーっと扉が開いて、そのまま一緒に中に入らせて貰った。
「本当にありがとう。この間もスケジュール帳拾ってくれてたし、いろいろ迷惑かけてごめん」
社内にロクな人間関係を築いていない私にとって、社員証を忘れたので一緒に入社させてくださいと頼むのは厳しかった。
「め、迷惑とかあり得ないから。むしろ西野と会話できて飯も行けてラッ…じゃなくて、
同僚なんだから当たり前だよ」
焦ったように早口で木嶋がそう返す。
最初の頃はあまり話してもいない内から苦手意識を持って避けていたというのに、
木嶋がいてくれて良かったと思うだなんて私はなんて女なんだろう。