独占欲強めな同期の極甘な求愛
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お昼ごはんをデスクでさっと済ませると、銀行へ向かうため毎日激しく往来するエレベーターに乗り込む。
するとそれとほぼ同じタイミングで私の後を追うように誰かが乗ってきた。臣だ。目が合うと、反射的にドキッする。
「お疲れ。偶然だな」
私の姿に気が付くといつもの笑顔でそう言って、行先階ボタンを押す。そして「外回り?」と聞いてきた。
「うん、ちょっと銀行に。臣も?」
「あぁ、工場のほうに用事があって」
言いながら首をコキコキと鳴らす臣の手には車のカギが握られている。わが社は工場や子会社がたくさんあって、本社の人間が顔を出すことはよくあることだ。
「ついでに乗せて行ってやろうか?」
ふと臣がそんなことを言い出したものだから、キョトンとしてしまう。
「え、でも」
「ついでだし、そのほうが早いだろ?」
そう言われ確かにと一人頷く。徒歩で行ける距離とはいえ時間の短縮になる。戻ってきてもまだやらなきゃいけない仕事が残っているわけだし、ここは臣に甘えるのがベストなのでは。