独占欲強めな同期の極甘な求愛
◇
「あれ、白鳥ちゃん、今帰り?」
仕事を片付け9時ごろ会社を出ると、すでに帰ってしまったと思っていた三井さんが後ろから声をかけてきた。
「三井さん、お疲れ様です」
「仕事してたの?」
「はい。月末の仕事が終わらなくて。三井さんは飲み会ですか? いいですね」
嫌味たっぷりにいうと、三井さんは苦笑いを浮かべ「俺酒臭かった?」と聞いた。
「えぇとっても」
「ちょっと大事な接待だったから、つい飲み過ぎちゃって」
接待ねぇ……。どうせ合コンかなんかだろう。なんとなく推測はついたけど、ここはスルーだ。
「えっ、と。送ろうか?」
呆れる私に、三井さんがばつが悪そうに言う。
「けっこうです」
「まぁそう言わずに。駅だよね?」
「そうですけど、本当にけっこうですから。ついてこないでください」
我ながら刺々しい言い方だと思うが、今日の私は部屋に置いているサボテンくらい殺気立っている。もちろん、うだつがあがらない自分に対して腹が立っているわけで、要はそんな場面に出くわしてしまった三井さんの運が悪いのだ。
「どうしたの? なんか機嫌悪い?」
足を速めた私に、三井さんがそれでもしつこくついてくる。本当にしつこし人。いつもいつも私の神経を逆なでることばかりしてくる。こんな暇があるなら書類の一つでも作ってよ。仕事手伝ってよ!