独占欲強めな同期の極甘な求愛
こんな泣き顔のままで電車に乗れるはずもなく、次々とやってくる電車を何本も見送った。三井さんはそんな私に何も言わず、気長に付き合ってくれていた。
「すみません、三井さんまで巻き込んでしまって」
ひとしきり泣いて落ち着いたところで、行き交う人を暇そうに眺める三井さんにそう言う。
「ううん、ちょっとは落ち着いた?」
「はい。お恥ずかしいところをお見せしました」
まさか三井さんにこんな醜態を見られるなんて思いもしなかった。
「俺わかんないんだけどさ」
「え?」
「どうして白鳥ちゃんは泣く必要があるの? 昨日二人で歩いていたってことは、白鳥ちゃんと都倉くんは付き合ってるんじゃないの? それなのにさ……」
そこまで言うと、がしっと困惑したような顔で頭を掻く三井さん。彼の言う通り、昨日のシーンは傍から見ればカップルに見える。むしろそう受けとるのが自然。それなのにどうして泣いているのかと言いたいのだろう。
「私たち付き合ってなんかないんです。ただの幼馴染なんです」
「え? 幼馴染?」
「はい」
驚く三井さんに私は、小さい頃一緒に過ごしたこと、会社で思わぬ再開したこと、二人の関係を口止めされていること。途切れ途切れになりながらも話した。