独占欲強めな同期の極甘な求愛
お弁当を食べ終え一人のんびりしていると、背後をスッと誰かが横切るのを感じた。そうかと思えば少し間を空け隣に誰かが座った。
チラッと横目で確認すると、コンビニの袋をぶら下げた臣だった。思わずびっくりして声が出そうになる。だけどここは会社だったと慌てて口を噤んだ。
どうしたんだろう。こんなところでお昼だなんて。再び盗み見る様に数メートル先の臣を見ると、だるそうにパンをかじっている。いつも社食なのに珍しい。しかも私に全然気が付いていない様子。無理もないか。
すると一瞬風が吹いた。その風に乗って臣のほうからビニール袋が飛んでくる。キャッチすると、慌てた様子で臣が私の方に駆けてきた。
「すみません、ゴミが……」
言いながら私の前で立ち止まる。そして私の顔を捉えると、クールな顔がギョッとしたような顔に変わった。
「え……美麗?」
戸惑ったように私の名前を口にすると、目をぱちくりさせる。
「美麗だよな? どうしたんだよ。全然気が付かなかった」
「ちょっと、イメチェン」
「ちょっとどころじゃねーだろ。マジでビックリしたんだけど」
周りに人がいるというのに、それすらも忘れた様に堂々と話しかけてくる。しかもまじまじと見つめてくるものだからどこに視線を合わせていいかわからず、挙動不審になってしまう。
「あんまり見ないでよ。恥ずかしい」
「なんで? すげー可愛いよ」
可愛い……。臣の口からそんな言葉が出てくるとは思わずますます顔が熱くなる。だけど嬉しい。臣にそう言ってもらいたくて頑張ったんだもん。ふわふわと宙に浮いているような気分。