独占欲強めな同期の極甘な求愛



定時に仕事を終えると、言われた通り会社の外で臣を待った。だけどさすがに堂々と正面切って出迎えるわけにはいかず、街路樹の影に身を隠していた。

まさかこんな展開になるなんて予想だにせず、午後からは仕事が全然手に着かなかった。定例会議だって頭に入らなくて、手元のメモ帳が真っ白だったことに気が付いたのは、会議が終わって5分後のことだった。そのくらい緊張していて、今も胃のあたりがキリキリしている。。

「あ、白鳥さん……」

腕に着けた時計を確認していると、近くでそんな声が聞こえてきて顔を上げる。そこには見覚えのある顔が足を止め、私のほうを見据えていた。そしてなぜか私のほうへと近づいてきた。昼間臣を連れ出したあの子だ。嫌な予感しかしなくて、さらに胃が痛み始める。

「あの、白鳥美麗さんですよね? 私企画部の里村と申します」

言いながら頭を下げる。そして私が持っている鞄に目を止め一瞬眉根を寄せた後、再び口を開いた。


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