独占欲強めな同期の極甘な求愛
「お聞きしたいんですが、この前都倉くんと一緒に歩いていた人って、あなたですよね?」
再びその話題を掘り返され、ん? と疑問をもつ。だって私を見に来て違うって判断したように思っていたから。地味で名前負けだって言っていたのに、どうしてまだそんな質問をしてくるのか……。
「すみません、私にはなんのことか」
不思議に思いながらも、単調な口調で否定する。
「本当に? あの時もそのキーホルダーつけてましたよね。今見てやっぱりあなただって確信しました」
自信たっぷりに言う彼女の声に、ハッとして鞄に着けていた星形のキーホルダーに目をやる。これは少し前臣が出張のお土産でくれたもの。臣から何かをもらうなんて小学生の時以来で、嬉しくてずっと付けているものだ。
「あの時二人が会社から一緒に帰るところを見ました。後ろ姿しか見えなかったから顔はわからなかったけど、そのキーホルダーがついていたのが見えたんです」
そう言われ咄嗟にそれを隠した。そんな私の前で里村さんは続けた。
「昼間だって人目を気にしながら話してましたよね。それに試飲会で、白鳥さんがたまに都倉くんにご飯を作りに行っているって、小倉さんに話しているのを聞いたっていう子がいるんです。それでもまだ否定しますか?」
顔を覗き込んできて、すごい目力でそう問う。その迫力に思わず息をのんだ。この人、一つ一つヒントを紡ぎ合わせて私までたどり着いたんだ。すごい観察力。いや、すごい執念だ。