独占欲強めな同期の極甘な求愛
「答えてください」
黙り込む私にさらに詰め寄ってくる。きっと頷くまで問い詰めてくるだろう。それに言い訳が見つからない。私は観念したように黙って首を縦に振った。
「やっぱり。二人は付き合ってるんですか?」
「そんなんじゃないんです。昔からの知り合いというだけです……」
「なんだ、そうなんだ」
里村さんがホッとしたように言う。そうかと思えば、さらに予想外なことを言いだした。
「そのご飯作り、私に譲って下さい」
「え?」
あまりにも不躾なお願いにポカンとする。
「白鳥さんから都倉くんに、もうやめるって言ってください。私にお願いするってそう言ってください。お願いします」
今度は真摯に頭を下げられてた。さっきまであんなに強気な態度だったのに。
「私、入社してからずっと彼のことが好きなんです。でも結婚相手を探してるって聞いて焦ってて……お願いします」
必死にそういう彼女に胸が痛んだ。気持ちがわかるだけに、これ以上なんて言っていいかわからなかった。臣のこと、本当に好きなんだな。
「もし譲ってくれなかったら、私白鳥さんに何をするかわかりません」
なかなか頷かない私にしびれを切らしたのか、今度は脅迫まがいなことまで言い始めた。
「このキーホルダーだって、都倉くんにもらったとかいうんでしょ?」
言いながらそれを掴んできた。
「や、やめてください。離して」
「どうしてあなたばかり」
里村さんがギュッとそれを力任せに引っ張る。やだ、やめて。切れちゃう。これは臣がくれた大切なものだ。