独占欲強めな同期の極甘な求愛
「美麗、大丈夫?」
彼女の後ろ姿を見送っていると、臣が心配そうに言った。
「私は平気。それよりあんなこと言って大丈夫?」
ずっと他人のふりをしてきたのに。今まで守ってきたものがなし崩しになってしまうかもしれない。きっと明日、また噂になっているに違いない。
「いいんだよ、もう」
「え?」
「俺、今になってやっと気が付いたんだ。昔も今も、俺が美麗をもっと必死に守ればよかったんだって」
なんのことかわからず、真面目な顔をする臣を見上げたままポカンとする。
「昔、嫌な目にあったことあっただろ?」
それって、もしかして……。
「小6の時だったかな。俺お前の友達に美麗のことどう思ってるかって聞かれたことがあったんだ。好きか嫌いか、その二択で答えろって」
小6……。そのフレーズだけど胸がえぐられるような気持になる。
「俺もガキだったし、その質問にどんな意図があるかなんて全く想像できなくて、好きに決まってるだろうって答えたんだ」
臣が苦いものでも噛みしめるように顔を歪め続けた。
「そのあとすぐだったかな。美麗が孤立して、どんどん元気がなくなっていったのは。きっと俺のせいだって思った。あのときあんな風に答えたから、美麗がハブられたんだって。でも美麗は俺の前だけ無理して笑って、明るく振る舞い続けた。それが余計に辛かった。弱音も愚痴も零さない美麗を俺が苦しめてるんだって思ったら耐えられなかった」
俯いてそう語る臣を前に、トラウマのようになっているあの出来事が走馬灯のように蘇った。