独占欲強めな同期の極甘な求愛
雨降って地固まる
「はい、臣。お弁当」
「お、サンキュー」
昼下がりの午後。中庭で肩を並べ休憩をとる。臣は私が作ってきたお弁当をわくわくしたような顔で開けると、おぉー!という大げさな声を上げた。
「うまそう、いただきます」
以前臣が俺の弁当を作ってと言っていたことがあった。あれはどうやら三井さんへの対抗心からきたものだったと、昨夜言っていた。
お弁当を作ってほしいと言う三井さんに、私が一刀両断で断っていたのを聞いていたらしい。じゃあ自分が言ったらどんな反応をするだろうと思ったらしく、ああやって聞いてきたのだとか。
臣のことは何でも知っているつもりだった。だけどそんな子供っぽいヤキモチを妬いたり、独占欲をむき出しにしてきたり。そんな臣は私も知らなかった。
「ん! この卵焼きうまい」
今だって口いっぱいに頬張りながら嬉しそうにしている。そんな臣がなんだか可愛く思えて胸がキュンキュンして止まらない。
「美麗はやっぱ料理上手だよな」
そう言って愛おしそうに見つめてくるものだから、恥ずかしくて思わず俯く。心臓がいくつあっても足りないくらい昨日から弾っぱなしだ。もしかするとそろそろ壊れてしまうかもしれない。
「美麗、もう少しこっち寄れば?」
言いながら臣が肩を抱き寄せてくる。
「あ、うん」
「お前に早く会いたくて午前中の仕事頑張ったんだからさ。もっと近くにこいよ」
さらりとそんな甘いセリフを言う臣もまた私の知らなかった臣。恋人同士になった途端、こんなに甘くなるなんて思いもしなかった。