独占欲強めな同期の極甘な求愛
「企画部は意気消沈してるんじゃない?」
茶化すように言う三井さんに臣は、さぁとどうでもよさそうに呟いた。
「女の争いがすごかったみたいだけど、結局は大穴が射止めたっていうわけだ」
大穴って、それはつまり私のこと? 馬じゃないんだから……。
「俺にとっては昔から美麗が本命です」
「お! 惚気か!」
おもしろがる三井さんに臣はさらにムッとした顔をする。用事がないのなら早く立ち去ってくれと怒っているのかもしれない。
「まぁみんな都倉くんのお嫁さん探しに翻弄されたみたいだけど、俺からしたら出世のために結婚だなんて、時代錯誤もいいところだよ」
「え? そうなんですか?」
臣が驚いたように顔を上げる。私もてっきりそれが近道だとばかり思い込んでいた。その発言があったからみんな躍起になっていたわけで、里村さんだって……。
「昭和ならわかるよ? 奥さんに家庭に入ってもらって、自分は仕事に専念する。だけど今はそんな時代じゃないだろ? 企画部の課長が言いそうなことだなと思ったよ」
「なるほど……」
「まぁ白鳥ちゃんにしてみれば結果オーライってわけだし。よかったね!」
ニコリと満面の笑みを向けられ、思わず引きつる。だけど色んなことが重なってこうやって臣と結ばれたわけだ。何か一つでも欠けていたら、今の私たちはなかったかもしれない。