独占欲強めな同期の極甘な求愛
「そういえば、今度のうちのCM、あの楪くるみがでるんだって! すごくない?」
今持っている最新のネタを振ってみる。だけど作戦はアッサリ失敗し、むしろ真逆のほうへ進む。
「知ってる。花笑ちゃんの会社がスポンサーだし」
また花笑ちゃん……。もう今日で何十回と聞いている。
「CM撮影結構大変だったって言ってた」
「へ……へぇ~」
「あ、噂をすれば花笑ちゃんからラインだ」
箸をつけたままスマホをスクロールする。顔はちょっとにやけていて、その顔を見ているとお腹の底から怒りが込み上げてきた。
「花笑ちゃんも大変だなぁ……おっと、」
よそ見をしながら目の前の煮物に手を付けるものだから、里芋がテーブルにころりと転がった。臣は慌ててそれを箸で掴もうとする。だけど追えば追うほど逃げ回り、しまいにはべちゃっと奇妙な音をたて床に落ちた。その瞬間、こめかみにぴきっと青筋が立つのがわかった。
「うわー最悪」
臣は慌てて床に落ちた里芋を拾うも、片手に持ったスマホは手放そうとしない。行儀の悪い食べ方をして、食べ物を無駄にして。頭にきた。