独占欲強めな同期の極甘な求愛
昔から名前だけ見てどんな子だろうと興味をもたれることが多かった。
学生の頃も白鳥美麗を見に行こうツアーが組まれたくらい。だけど私を見にきた人はみんな口を揃えて言うんだ。
「うわ、騙された」
「地味じゃん!」
って。この会社に入社した時もそうだった。どんな美人がくるんだろうと期待されていたとか。だけど入社してきたのはメガネ黒髪の地味な女。身長だって低いし、愛想もいいとはいえない。
こうやってみんなの予想と期待を裏切りまくり早26年。おかげさまで図太くなった。とはいえ、こんな私にも唯一楽しみにしていることがあった。
◇
「美麗ー!」
私を呼ぶ低い声が部屋に届く。私は手についていた泡を水で洗い流すと急いで声のした玄関へ向かった。
「うわ、びしょ濡じゃない。傘もってなかったの?」
玄関先で頭からぽたぽたと滴を落とす彼に驚きながらも、大急ぎでタオルを渡す。
「急に降ってくるからまいった」
「夕方から雨だって言ってたじゃない」
「天気予報なんて見てねぇよ」
私からタオルを受け取り頭をガシガシっと豪快に拭くと、あーくそと言いながらネクタイを緩めた。その仕草が妙に色っぽくて思わず見入ってしまう。しかもあろうことか。ワイシャツまで脱ぎ始めた。