独占欲強めな同期の極甘な求愛
君子は豹変す?
「は? 嘘だろ……」
昼下がりの午後、経理課へとやってきた臣が私を見て開口一番に発した言葉は、そんなシンプルなものだった。
「どうしたんだよ、美麗。マジでビックリなんだけど」
言いながらキョロキョロと課を一望し、私以外誰もいないことを確認すると、心底驚いたような顔で私をマジマジ見つめ始める。
「変、かな?」
「いや、全然変じゃないけど、いったいどういった心境の変化なのかなって」
躊躇いながらそう口にする臣。彼が驚くのも無理はないと思う。なぜなら私は今日初めてメガネからコンタクトにして、出社したのだから。午前中あり余る有給を使ったのはそのためだ。
大袈裟かもしれないけど、ここに至るまで苦労の連続だった。
手さぐり状態でなんとか眼科へ着いたものの入り口で怖気づき、なかなか先へ進めなかった。いざ装着となったときも、スタッフさんに散々迷惑かけたし、こんなものつけられないと騒ぎまくった。なんとか装着できたのはチャレンジ開始から1時間後だった。
よくわからない拍手を浴びながら、汗ばんだ体を引きずり会社に着いたのはついさっきだ。