独占欲強めな同期の極甘な求愛
その瞳に捕らわれた私は、つい見惚れて固まってしまった。いつ見ても綺麗な顔。だけど笑うとくしゃくしゃになって、子供のような無邪気な顔になる。そのギャップも好き。口はちょっと辛口だけど、本当は優しいってこと知ってる。幼いころからずっと。
「臣、私ね」
だけどもう私も進まなきゃいけない。覚悟の決まった女は強いんだ。そう言い聞かせ、口を開いた。
「私の好きな人は、」
「ま、待った! やっぱいい」
「へ?」
開いた口を手で覆われ、目を丸くしたまま押し黙る。
「いいや、やっぱり聞かなくて」
は? なに、急に。教えろと言ったのは自分のくせに。慌てて止めるってなに?
「聞きたくない。今の忘れて」
まさか止められると思っていなかった私は、その場で呆然としていた。なんだろうこの不消化感は。好きですの「す」の字も言わせてもらえなかった。まるで火をつけたのに発射しなかった花火のよう。
「俺らってさ」
すると、消沈する私の前で臣がボソッと小声で呟いた。
「ただの幼馴染だよな」
その言葉に、ドスンと、胃に鉛が落ちたような衝撃が走る。それはつまり臣にとっても私はただの幼馴染で、それ以下でもそれ以上でもないって言いたい? それ以上望むなってこと?
臣が何を考えているのか全くわからない。だけど今の関係を問われれば、それしか選択肢がない。気持ちを伝える前に、NOを突きつけられたような気分だ。
「臣は、大切な幼馴染だよ」
声が震えそうになるのを堪えながらそう言うと、臣はふっと口を歪め、力なく笑った。