独占欲強めな同期の極甘な求愛
「白鳥さーん」
そんな私たちの間を割くように、江頭さんが強引に入ってきた。嫌な予感がしながらも、タイプする手を止め、どうしたの?としぶしぶ聞く。
「この請求書、どうしても数字が合わなくてー。白鳥さんお願いできますー?」
のらりくらりとしゃべりながらまたもや私に仕事を振ろうとする江頭さん。この書類作成に関しては何度も彼女に教えた。それなのに、いつも聞いていないからなのか、いまだこんな風にわからないと言ってくるのだ。
「私も今営業部に持っていく急ぎの仕事があるから無理だよ」
「だってだって、私今日も微熱気味でー」
でた。病弱アピール。もう聞き飽きた。そんな毎度毎度言われて誰が信用するっていうの?
「あのね、江頭さ……」
「大丈夫? ちょっと休んだ方がいいんじゃない?」
は? 耳を疑った。
「あ、本当、ちょっと熱いかも」
隣に視線だけずらせば、三井さんが江頭さんの額を触りながら心配そうにしている。
「そうなんですー。私昔から体弱くて」
「わぁー可愛そうに」
真剣な顔で同情する三井さん。いやいや、絶対仮病ですから。こんな演技に騙される人がいるのかといつも思っていたけど、こんな近くにいた! 男ってやつはまったくもう。
あぁ、頭痛い。だいたい江頭さんがこんな風に仕事を押し付けてくるときはなにか絶対理由があるはず。