独占欲強めな同期の極甘な求愛
そんな二人を見ていると心が痛かった。色々と覚悟はしていたけど現実に二人の仲の良さを見せつけられると、そんなものなんの役にも立たない。俯き唇を噛みしめる。
と、突然。ガタンッという激しい振動の後、エレベーター内が真っ暗になった。
「え? なに?」
「もしかしてエレベーター、止まりました?」
「嘘、どうして?」
怖くなり、思わず二人で手を取り合う。取り残された箱の中には、ミシミシという不気味な音だけが響き渡っている。
「大丈夫ですかー?」
そこに警備室からと思われる声がスピーカーから聞こえてきて、慌ててその前に駆け寄る。
「なにがあったんですか?」
「原因を調査中です。少しお待ちください」
「少しって……」
いったいどれくらい? 一気に不安になる。花笑ちゃんも心配そうにやり取りする私たちのほうを見ている。その今にも泣きだしそうな顔を見ていると、どうにかしてあげなきゃという本能が働き、スーッと息を吸い込んだ後、ニコリと笑って見せた。
「大丈夫ですよ! 花笑さん! うちの会社よくエレベーター止まるんです!」
「え? よくですか?」
「え、あ……はい」
どんな会社だよと思われちゃったかな。でも嘘も方便だ。