独占欲強めな同期の極甘な求愛


こういう時、中からドアは開かないのだろうか。このまま何もしないで待つより、少し努力してみようと、ダメもとでドアに手をかけ渾身の力を込める。だけどやっぱりというべきか。びくともしない。

じゃあ天井は? 海外映画で天井から人が現れて、引き上げてくれるシーンを見たことがある。試しにと上を見上げじっと見つめる。そんな私を不思議そうに花笑ちゃんが見ている。

「白鳥さん? どうしたんですか?」
「花笑さん。私が肩車するので、天井を押してもらえませんか?」
「えっ?! 無理ですよそんなこと。だいたい肩車してもらったところで届きませんよ」

冷静にそう言われ、それもそうかと思い直す。私の身長は155センチ。花笑ちゃんも恐らく変わらないくらい。やっぱり女二人じゃ何もできないか……。小さくため息を吐きながら諦めてその場に再び座る。

他にできることはないのかと考えてみるもなにも思いつかず、何の音沙汰もないまま刻々と時間だけが過ぎていった。

外では何が起こっているんだろう。いったいどのくらい時間がたった? もうそんな感覚すらわからなくなった。会話らしい会話もなく、二人でただひたすら黙って床を見つめていた。


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