独占欲強めな同期の極甘な求愛

「私、暗いところ苦手なんですよね」

ずっと俯いて黙っていた花笑ちゃんがポツリと口を開いた。

「小さいころ叱られて押し入れに入れられたことがあって。それがトラウマで今も苦手なんです」

震える声でそういう花笑ちゃんが小さな子供のように見えて思わず手を握る。

「花笑さん!」
「は、はい?」
「しりとりしましょう!」

明暗とばかりに張り切ってそう言うと、花笑ちゃんはキョトンとした顔で私を見据えた。

「きっと気が紛れますよ。私しりとり強いですからね。じゃあ何から始めましょうか?」

やっぱりここはしりとりの「し」だろうかと真剣に考えていると、クスクスと笑う声が聞こえてきて、ハッとして視線を隣に向ける。

「やっぱり白鳥さんておもしろい方ですよね」
「え?」
「そんなこと言われたの、子供のころ以来です」

私は真剣に提案したつもりだったのに、花笑ちゃんは笑を止められないといった様子でお腹を抱えて笑っている。どうしてそんなに笑われているのかわからなくて、花笑ちゃんの傍らで苦笑いを零す。

「すみません、ちょっとツボっちゃって。励まそうとしてくれてたのに」

そんな私に気が付いたのか、落ち着きを取り戻した花笑ちゃんが目尻を拭いながら謝る。私はいえ、と首を振った。

「白鳥さんは優しい方ですね。ありがとうございます。なんだかちょっと元気でました」
「いえ、私は何も……」

なにかしたいと思いながらも何も思いつかず、笑われ空回り。だけど花笑ちゃんはどうやら本当に元気が出たようで、さっきとは打って変わって顔つきがよくなった。

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