独占欲強めな同期の極甘な求愛


「でもあんまりガツガツしてると、好きな人にも嫌われちゃいますよね」

花笑ちゃんの口から好きな人という言葉が出てきてドキリとする。きっと臣のことを言っているんだろう。ついさっき臣を打ち上げに誘っていたし、好き好きオーラが私にも伝わってきた。

コンプレックスに思っているみたいだけど、花笑ちゃんのストレートで、欲しいものを欲しいと言えるところは、彼女の長所だと思う。

「私は、花笑さんのそういうところ、羨ましいです」

意図せず、心の声が口からこぼれる。花笑ちゃんはえ? と驚いたように首を傾げる。

「いや、あの……私は何かを変えるとか、変化にとても臆病ですので、花笑さんを見習いたいなー、なんて思ったり」

しどろもどろに言う私を、花笑ちゃんが珍しいものでも見るかのような目で見ている。あーこんなこと言うつもりなかったのに、どうしてだろう。口が勝手に暴走している。きっとこのシチュエーションのせいだ。人間ピンチの時は本音がこぼれてしまうのかもしれない。

「あの、なんでもないです。忘れてください」

身振り手振りでそう言うと、「ないものねだりですね」と、花笑ちゃんはいつもの笑顔で笑ってそう言った。屈託のない笑顔を前に私も自然と笑顔になる。

「そんな風に言ってもらえて嬉しいです」
「こ、こちらこそ」
「ふふ、なんだか変な会話ですね」
「ですね」

なんだか意外だった。一見完璧に見える人も、少なからずコンプレックスや劣等感を感じているんだ。みんな同じなんだ。私だけじゃない。そう思と不思議と親近感が湧いた。

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