独占欲強めな同期の極甘な求愛
「そういえば、仕事中のお前ってさ」
「ん?」
「すげー冷たいよな」
その発言にはぁー!?と大きな声が上がる。
「それは臣が最初に釘さしたからでしょ! だからちゃんと他人を装ってるのに」
「まぁそうだけど、とことん冷徹を貫くなーと思って。あんな怖い顔して領収書突きつけなくてこなくても」
昼間のことを思い出したのか、クスクスと肩を揺らす臣。私をとことん振り回す張本人のくせに、言っていることが矛盾しすぎだ。
あの時あんな風に言われて私がどれだけショックだったか。また同じ時間を過ごせると有頂天になってふわふわしているところを、銃で撃ち落とされたような衝撃だった。
この恋は絶対に報われないんだなって悟ってしまったし。まぁ昔から彼女になるなんて、自転車で世界一周目指すのと同じくらい、無謀だとはわかっていたけど。
「臣こそ、今回の出張は女の子のいるお店行かなかったんだね」
ちょっと仕返してみたくなって、そんな意地悪を言ってみる。
「あのな、言っとくけどあれは行きたくて行ってるわけじゃねーの。付き合いだよ付き合い。それなのに経費落ちないし、やってられねーよ、まじで」
「そうなんだ」
神経使って出張に行って、なおかつ自腹切らされるなんて。ちょっと可愛そうになる。こっそり通してあげればよかったかな。てっきり臣が好きで行ってるんだとばかり思ってた。