独占欲強めな同期の極甘な求愛
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今日のあれはいったいなんだったんだろ。バスタブの中で力強く抱きしめられていた肩にそっと触れる。
花笑ちゃんは気がついた時にはあの場からいなくなっていた。私たちがただの同僚じゃないってことは、恐らくバレてしまっただろう。傷つけてしまったんじゃないかと思うと、申し訳ない気持ちなる。
だけどどうして臣は花笑ちゃんじゃなく、私に一直線に向かってきたんだろう。花笑ちゃんがお嫁さん候補で、臣と両思いだとばかり思っていたのに。家族愛?兄弟のような存在の私がピンチだったから?
「はぁ……」
きっとそうに違いない。そうじゃなきゃ説明が付かない。この小一時間、悶々とこのループから抜け出せずにいる。
でも、臣が真っ直ぐ私の方に来てくれて正直嬉しかった。臣の体は温かくて、想像以上に逞しくて、幼いころの臣と全然違った。男の人の体が自分のものとこんなにも違うということを生まれて初めて知った。
臣はどんなふうに女の子を抱き寄せるんだろう。どんな風にキスするんだろう。
「……って、なに考えてるんだろう」
変態か、私は。らしくない想像までしてしまったものだから、体が火照り始める。そんな自分に困惑した私は、それをいさめるようにバスタブの中にぶくぶくと顔を沈めた。