独占欲強めな同期の極甘な求愛
嵐の前の静けさ
◇
「ぎゃっ! なんですかその顔!」
月曜日、寝不足気味で出社すると、江頭さんに早々と突っ込まれた。
「目のクマひどいですよ。どうしたんですか?」
「ちょっと寝不足で」
「コンシーラーで隠したらどうです?」
……コンシーラー? それはいったいなんだろう。トランシーバーの仲間? そんなことを考えていると、江頭さんが呆れたようにため息を吐いた。
「これですよ、これ。もう、白鳥さんは本当そういうの疎いんだから。どうせコンシーラーってなんだろーとか考えたんでしょ」
完全に見透かされていて、反論の余地も見当たらない。そんな私に江頭さんはポーチからスティックのようなものをとりだし、私の目の下にそれをサッと塗ってくれた。
「白鳥さんも若くないんですから。少しはメンテしたほがいいですよ」
「はい……気を付けます」
「だいたいリップの一つも塗ってないんですか? もう、ちょっと顔貸して」
グイッと顎を引き寄せられ、これまた強引にリップを塗られる。いつも薬用リップくらいしか塗っていないから、こんな真っ赤なリップはちょっと抵抗がある。だけど江頭さんは躊躇する間も与えない勢いで私の唇を奪った。