独占欲強めな同期の極甘な求愛

「わ! いいじゃないですかー! 白鳥さん色白だから赤が映える」
「そうかなぁ……」
「ほら見てください」

鏡を手渡され見てみると、そこには見たこともない自分が映っていて驚いた。リップ一つでこんなにも変わるんだ。あんなにくすんでいた顔が華やかになっている。化粧って魔法だ。

「ありがとう、江頭さん」

どうして私にこんなことしてくれるだろう。もしやなにか企んでる? 勘ぐっていると、江頭さんが悩ましげに口を開いた。

「白鳥さんにも少しは頑張ってもらわないと困るんです」
「え? 私?」
「私昨日親睦会で聞いちゃったんですよねー。経理部の女子はレベルが低いって海外事業部の人たちが言っているの。一括にされてるのがどうしても許せなくて。私、このまま汚名を着せられたままじゃ嫌なんですよ」
「は、はぁ……」
「だから白鳥さんも少しは自分の身なりを気にしてください! レベルを下げてる自覚をもってください!じゃないと私の婚活にも影響しますから!」

ぐはっと変な声が出そうになった。やっぱりそういうことか……。ちょっと感心した私がバカだった。

「おはよー」

そこに、今日は珍しく遅刻せずに三井さんがやってきた。だけど彼もかなり眠そうで、きっとその親睦会に参加していたんだろうな、と思った。

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