独占欲強めな同期の極甘な求愛
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試飲会当日は朝からお祭り騒ぎだった。気候も良いということもあり、会社の周りは人で溢れ返っている。
受付はそんな人たちを迎える重要なポストで、大手の社長から重役クラスの人たちまでがこぞって顔を出す。この日だけは我が社が大企業だということを実感する。
「最後にアンケートがございますので、よろしくお願いしますー」
朝から一段と甲高い声色を響かせるのは江頭さん。そんな声がよく続くなーと隣で感心しながら、事前にもらっていた名簿と照らし合わせながら順番に受付をしていく。
「楽しんでいってくださいねー」
やけに張り切るの彼女の魂胆はなんとなくわかる。きっとハイスペックな男性との出会いの場とでも思っているのだろう。
「ねぇねぇ白鳥さん。今白鳥さんが応対した人ってGumiの社長さんじゃないですか?」
人が途切れたことをいいことに、江頭さんがこっそりと耳打ちする。
「え? Gumiの?」
「絶対そうですよー! あの顔、雑誌で見たことありますもん! 噂通りイケメンでしたねー」
そうだったんだ。全然気が付かなかった。Gumiと言えばつい最近画期的なアプリを開発し有名になったあのGumiだろう。今では誰もが当たり前に活用していて、流行りに疎い私でさえ使っている。