独占欲強めな同期の極甘な求愛

「まさかそんな時の人に会えるなんてちょっと感動ー! 後でサインもらおうかな」
「江頭さん、声大きいから。どこで誰に見られているかわかんないよ」
「てへー、ごめんなさーい」

注意するとそんな調子で返された。軽いなー、もう。

お昼過ぎになり、名簿に載っているお客さんはあと数名を残しほぼ全員が来ていた。客足はピークを越えたように思えた。

そう言えば少し前、花笑ちゃんも上司と思われる人と来ていた。あの一件以来顔を合わすのは今日が初めてで、なんとなく気まずくて、目が合いそうになったけど慌ててそらしてしまった。きっと感じの悪いやつだと思われただろう。でも臣とのことを聞かれたらなんて言い訳していいかわからない。

受付を閉めると中の手伝いへと回るため、重い足取りで会場の中へと入る。案の定、会場はお祭り騒ぎで、毎年のことだけど酔っぱらいも続出している模様。やや億劫めいたため息をつく。だけどそんな私とは裏腹に、江頭さんは目をキラキラさせながら会場を眺めていた。

< 88 / 138 >

この作品をシェア

pagetop