独占欲強めな同期の極甘な求愛
老若男女が楽しそうにお酒をたしなんでいる。その傍らでは企画部はもちろんのこと、総務部から海外事業部まで、わが社の社員がせっせと駆けずり回っていた。派遣で来てくれている水着のような服装の女の子たちも、笑顔で飲み物を配ってくれていて、場は大いに盛り上がっていた。
そんな光景を見ながら課長からの指示待ち状態の私は、隅のほうで身を寄せいていた。江頭さんはその隙を突き、ちょっとそれまで探索してくると言ってどこかへ駆けて行ってしまった。
「白鳥さん」
ぼんやりしていると不意に名前を呼ばれ、ハッとしながら声のほうへ視線を向ける。そこにはグラス片手にほんのり顔を赤らめた花笑ちゃんがこっちに向かってきているところだった。気まずい気持ちで頭を下げる。心臓はドキドキと加速していた。
「こんにちは、今日はお招きいただきありがとうございます」
「こちらこそ。お忙しい中お越しいただきありがとうございます」
テンプレートのような挨拶を交わし終えると、花笑ちゃんは私の隣でぴたりと足を止めた。なんだろう。やっぱりこの前ことを探りに来た? いや、きっとそうだろう。それ以外に私たちには接点がないのだから。