独占欲強めな同期の極甘な求愛
「どういうと言われましても。前にも申したようにただの同僚です。それ以上でも以下でも……」
「嘘ですよね。なにか深い関係がないとあんな風に抱きしめないですよね? 美麗って名前で呼んだの、聞こえましたよ。付き合っているんですか?」
「ち、違います! 付き合ってなんかいないです」
そう否定するも、花笑ちゃんは鋭い視線を向け続ける。
あーもう白状するしかないのかも。後で臣に文句を言われるかもしれないけど、そもそも臣があんなことをしてきたから悪いんだし。もう隠しきれないと思い、半ばやけになりながら答えた。
「実は私たち、幼馴染なんです」
「え、幼馴染?」
花笑ちゃんは一瞬驚いたような顔をした後、どこかホッとしたように眉を下げた。
「はい。臣には内緒にしてろって言われてますけど」
「え? どうしてですか?」
不思議そうに花笑ちゃんが首を傾げる。
「たぶん私みたいな地味な幼馴染がいることが恥ずかしいんでしょう。臣は花笑さんもご存じのように仕事もできて、かっこよくて人気者。だから弊害になるのを恐れているんですよ」
そこまで言うと花笑ちゃんが「何言ってるんですか」と少し笑いながら、おかしそうに言った。