独占欲強めな同期の極甘な求愛
「キャーッ! な、なにするんですか!」
TPOも忘れ思い切りその場で叫ぶ。そんな私を見て花笑ちゃんはふふっと肩をすくめ笑っている。
「え、花笑さん! どういうつもりですか!」
「手が滑っちゃった」
花笑ちゃんは悪びれる様子もなく、持っていたグラスに口をつける。一気に顔に熱が集まった私は、誰かに見られていないかとハラハラしながら周りを見渡していた。
「どうした。何かあった?」
するとどこからかそんな声が近づいてくるのがわかった。ふと振り返れば、臣が焦った様子で近づいてくるところだった。
「ほら、やっぱりね」
そんな臣に気が付いた花笑ちゃんが小声で言う。
「今白鳥さんの悲鳴が聞こえたけど、なにかありました?」
私たちのところまでたどり着くや否や、そう問う臣。そうは言われてもスカートをめくられたなんてこと言えるはずがなく、慌てて首を振る。
「いえ、あの、グラスを落としそうになって、それで……」
「なんだ、そっか」
臣はホッとしたような声で言う。花笑ちゃんはいったいなにがしたかったんだ。そんな当の本人は臣に視線を向けることなく、優雅にワインでも飲んでいるし。さっきまで話たがっていたのに。何を考えているのかさっぱりわからない。