独占欲強めな同期の極甘な求愛
「都倉くん、ちょっといい?」
同僚に呼ばれた臣が、今行きますと手を上げる。
「じゃあ俺はこれで。花笑ちゃん、ゆっくりしていってね」
そう言って再び持ち場へと戻る臣の背中を見送っていると、ずっと黙っていた花笑ちゃんが隣で不機嫌そうな声をだした。
「こんなに騒がしいのに、白鳥さんの悲鳴だけは聞こえるって、どんだけなんですか」
「そ、それは私の声が大きかったから」
「そう? きっと私が叫び声をあげたってあんな風に駆けつけてくれませんよ」
拗ねたように言って、花笑ちゃんはグラスの中のワインをぐるんぐるんと回している。
「あー、面白くない。私も愛されたい」
「あ、愛……って」
「だって白鳥さん、都倉さんに愛されてるじゃないですか。羨ましい」
「ど、どこが! さっきの話聞いてました?」
思わず声が大きくなる。さっき情けないこともすべてさらけだした。説明した。それなのに愛されてるって。何をいいだすんだ花笑ちゃんは。
「酔ってるなら医務室行きますか?」
「酔っていません! 私は客観的な意見を言ってるだけです」
やや怪しい呂律でそう言い張る。だけどだれがどう見ても酔っている気がするけど。
「きっとなにか理由があるんだと思いますよ?」
「え? 理由?」
「フォローするのもちょっとしゃくだけど、内緒にしろっていうのは、都倉さんなりの理由があるんだと思います。まぁ私にはそれがなんなのかはわかりませんけど。でもきっと白鳥さんが思っているような理由ではないと思いますよ」