明日こそ、キミに「好き」を届けます。
「待ってよ。これ、返すよ」
慌てて手袋を外そうとする私。
「いらない。やるから」
「でも……っ」
「……もし返したら、給食のからあげ、絵美ちゃんの分全部俺がもらうからな」
「……」
それを言われたら、黙るしかない。
給食のからあげは、私だって好きだし。
いくら相手が桜庭でも、取られたくないって気持ちになる。
「……わかったから。ありがとう、桜庭……」
「……お、おぅ」
珍しく私が素直にお礼を言ったからか、桜庭の少しだけ戸惑った様子が声となって耳に届いた。
そのままふたり黙りこんだまま、通学路を外れて広場へと向かう。
だんだんとその沈黙に耐えられなくなった私は、桜庭からもらった手袋を見つめながら、独り言のように呟いてみる。