明日こそ、キミに「好き」を届けます。
しばらくして、広場に設置されている時計の針が十分経過すると、突然目の前の噴水が色づき始めた。
「えっ?なにこれ……」
先ほどまで白っぽい水が溢れていた噴水は、今は赤色、ピンク色、オレンジ色……とキラキラと色を変えている。
「ヘヘッ、サプライズ成功?」
隣にいる彼を見てみれば、照れくさそうに、だけど嬉しそうに微笑んでいた。
「今月だけ、五時から十分間。噴水のイベントが行われることになったんだって。だから、誕生日祝いに篠山を連れてきたくてさ」
「……っ」
「……篠山、こういうの好きだろ?」
あぁ……、もう、らしくないことしないでよ。
「サルのくせに……」
「なっ!?ムード台無しにする気かよ!?」
ムードなんてもの、桜庭にはもともとないでしょ?
なんて、思わずツッコんじゃったけど、それは心の内で思うだけにして口にはしなかった。