明日こそ、キミに「好き」を届けます。
その代わりに……、どうしても言いたくなったことを言葉にしよう。
「桜庭」
「なんだよ!」
語尾を強めて、私のほうを振り向く彼。同時に眉をひそめて、ムッとした表情を向けられた。
……あ、まだ怒ってる。
「……ムードはわかんないけど。
……連れてきてくれて、ありが……とう」
お礼を言うのが少し恥ずかしくて、思わず桜庭から顔を逸らす。
緊張して……声が、上ずった。
「む、ムードくらいわかれよな。
………………どういたしまして」
少し拗ねた桜庭の声が、左耳に届く。
その雰囲気に少しだけ気まずい空気が流れていると、突然桜庭が私の手をとり、ギュッと左手を包み込んだ。