明日こそ、キミに「好き」を届けます。
「……というか、不意打ちはなしでしょ……」
誰にも聞こえない声で、ちいさく呟く私。
桜庭が去り際に残した言葉。
────『それじゃあ、絵美ちゃん。またなー!』
「……っ!」
思い出しただけで、顔がカッと熱くなる。
あぁ……、でも、桜庭がここにいなくてよかった。いたら、絶対またからかわれてた。
桜庭は私をからかうときに、わざとらしく「絵美ちゃん」と呼ぶんだ。
「篠山」と苗字で呼ぶことのほうが珍しいくらい。
さっきのは、思わずだったのかもしれないけど、普段は私の反応を楽しむために口にしているから、本当にたちが悪いんだ。
……いつも、顔を真っ赤にさせてしまう私も私だけど。